今日は日曜日。

 黒崎家では、一護は部屋でゴロゴロしていた。

 5日間の学校が終わり、やっと寝れる。


「何もしないってのは、最高だよなー」


 いつもならいるはずのルキアやコンも今日はいない。

 窓から入ってくる涼しい風が気持ちいい。

 だんだんうとうとしてきて、もう少しで夢の中へ入ろうとしたその時――――………。



「こんにちは!」



「!?」



 突然の声に飛び起きて声のした方を見ると、そこには2つの影があった。















   Scramble Of One Person
















 窓に突如現れた2つの影。

 1つは金髪、もう1つは銀髪。

 そして、両方共死覇装。

 一護は、小さく溜息をつき、2人を見た。


「突然でびっくりしたぜ、 、冬獅郎」

「“冬獅郎”じゃねえって言ってんだろ!」

「別にいいじゃねえか、どっちでも」

「まあまあ、2人共喧嘩しないの」


 今にも口喧嘩が始まりそうな雰囲気だった為、 は2人をなだめる。

 日番谷は、まるで子供のように顔を背け。一護はばつ悪そうに頭をかいた。

 とりあえず窓にいるのもあれなので、彼の部屋にお邪魔することにした。


「一護くんの部屋って広いのね〜。向こうとは置いている物とか違うね」

「まあ、そうだな。尸魂界じゃあ畳みだしな」

「うん!それでこれって…」


 部屋の入るなり、中を見て回っている

 「これは?あれは?」という声が聞こえてくる。

 窓に座り、腕を組んでいる日番谷は2人の様子を見て、眉間に皺を増やしていた。

 真剣なことを話しているなら、別にいい。

 でも、真剣なことじゃないし、何でそんなに嬉しそうなんだよ。

 それが、彼の中の嫉妬心を大きくしていった。



 そんな事は知らず、彼女は一護に聞きまくる。

 一護は心なしか嬉しそうで。

 自分が想いを寄せている女性がこうして一緒にいてくれているのだから、嬉しいのだろう。


「なるほどね…。現世っていろいろな物があるんだ」

「まあな」

「教えてくれてありがとう。……冬獅郎くん!」


 彼女は振り返り、窓でずっと黙っていた日番谷を呼ぶ。

 目を瞑っていた彼は、ゆっくり開けると、睨みつけるように視線を向けた。



「何だ?」



「何でそんなに不機嫌なの?教えてあげようと思ったのに」



 今度は が拗ねる。

 日番谷は溜息をつくと、窓から降りた。


「別に怒ってる訳じゃねえよ。で、何だ?」

「尸魂界にも現世と同じものを置いたらおもしろいかなって思って」

「同じようなもの?」

「そう。例えば、布団をベッドに変えるとか………」


 部屋の中にある物を順々に指を差していく。

 面倒くさそうな顔をしている彼だが、楽しそう…かは分からないけれど、決して嫌そうではない。

 一護の目にはそう映った。

 それと同時に、ムッとする。

 先程彼と話していた時より、 は嬉しそうに見えたから。



 2人が話している中、ちょっと割り込んだ。


「なあ」


「ん、何?」


 日番谷と話している中、彼女は振り向く。

 話していたのに途中で止められ、また彼は不機嫌になる。

 元々目つきの悪い…もとい、鋭い目で一護を睨みつけていた。



 割り込んだのはいいが、内容は何も考えてなかったので、ちょっと困っていた。

 「あー…」と自分から視線を外す一護に、 は首をかしげる。

 そこで目に入る死覇装。


「何で死覇装なんだ?義骸に入らねえのか?」

「そんなに長居しようとは思ってなかったから、面倒で」

「なるほどねぇ…。じゃあどうして冬獅郎と一緒なんだよ、今日は?」

「それは内緒、ちょっと、ね」

「そんな事言われると気になるじゃねーか」


 そう言う彼に、苦笑を浮かべる。

 決して遊びに来た訳ではなく、ちょっとした理由があるのだ。

 別に一護になら言ってもかまわない事なのだけど、折角の休日だし。




「うるせえぞ」




「あ?」




 横から日番谷の低い声が飛んでくる。

 話を中断され、しかも目の前で仲良く(?)されては、誰だって不機嫌になる。


に引っ付くな」

「別に引っ付いてねえけど。どうしたんだよ、冬獅郎?」

「冬獅郎くん?」


 こいつら2人共鈍い……。

 イライラしていたが、なんだか呆れてしまって、心中で溜息をつく。

 てっきり、黒崎一護の方は分かっているのかと思ったが…。

 まあこのイライラはあれで晴らすか。

 そう思い、「何でもない」と言おうとした瞬間、かすかにある霊圧を感じだ。


「この霊圧…!」

「やっと現れたか。行くぜ、

「うん!」

「お、おい!」


 この霊圧を感じ取り、外へ出て行こうとする2人を止める。

 彼には何がなんだか分からない状態で。

 日番谷は振り向き、答えた。


「この霊圧は虚だ」

「それは分かるぜ。………もしかして、あんた達がこっちに来た理由って」

「そういうことだ」


 それだけ言うと、2人はさっさと行ってしまった。

 1人取り残されてしまった一護は、自分も行った方がいいのか考えたが、隊長が2人もいる。

 俺が行っても仕方ねえし、待っていればいいか。

 というか、そいつも可哀想だよな…。

 この近くに現れているだろう虚に同情しながら、終わるのを待っていた。




















「霜天に坐せ、氷輪丸!!」





 日番谷が始解をすると、氷と水の竜が現れ、虚を襲う。

 虚は一体だけでなく、複数いる。

 だが、どれも強い訳ではなく、彼らなら楽勝の相手。

  は始解をしないままで倒しながら、彼の方を見た。


「冬獅郎くん、何も始解しなくたって…」

「ちょっと今機嫌が悪くてな」


 不敵に笑う日番谷に、思わず溜息をついてしまう。

 その間に自分の背後に迫ってきていた虚を、見もせず一刀両断する。

 気持ち悪い声を出して、その虚は消えていった。















「これで片付いたかな?」

「ああ」


 斬魄刀を鞘にしまい、周りを見渡す。

 一護の部屋から駆けつけ、まだ5分くらいしか経っていないのに、もう全滅させていた。

 さすが、隊長である。


「さ、戻ろ。一護くん、待ってるし」

「仕方ねえな…」


 嫌々言いながらも一緒にいてくれる彼に微笑む。

 それに「なんだよ」と口を尖らす日番谷に「なんでもない」と答える。

 それからまた2人は、一護の家に戻っていった。

























「おう、おかえり」


「…ただいま」


 普通に迎えてくれる一護に、一瞬ぽかんとしてしまったが、すぐに は笑顔で返した。


「いきなりで悪ぃんだけど、 達がこっちに来たのって虚を退治するためか?」

「さっきそうだと言っただろう。向こうで出たっていう報告があったからな」

「そうなの。だから、私達がその仕事を請けて、現世に来たってわけ」

「はーん……」


 納得したのか、まだ納得していないのか、微妙な反応を示す。

 それに彼女は苦笑いを浮かべると、隣にいる日番谷を見る。

 彼は小さく頷いた。


「俺達、そろそろ帰るぜ」

「任務も終わったことだしね」

「あ、ああ。そうか…」


 もう帰っちまうのか、もう少し…と喉の所まできていたが、口には出さなかった。

 任務で来た訳だし、長居しちゃまずいよな。

 窓から出て行こうとする2人に、小さく手を振る。


「じゃあな、 、冬獅郎」

「うん、じゃあね」


 笑顔で手を振り返る

 窓から先に日番谷が出る。

 彼女も出ようと窓ガラスに手をかけると、「あ」と何かを思い出したような声を出した。




「?」





「本当は一護くんに会いにきたんだよ」





「……え!?」





 やっと理解できた時には、もう姿はなく。

 だが、先程よりも彼の表情は清々しいものになっていた。




















「今日はありがとう」



 虚が現れた場所に、2人はいた。

 ベンチに座り、まだ晴れわたっている空を見上げる。

 日番谷は腕を組んで、隣に座っている歌倫に視線を向けた。


「礼を言われることはしてねえ」

「一護くんに会いに行くって言ったら、一緒に来てくれたでしょ?何も無かったのに」

「……お前の頼みだったから、仕方なくだ」


 ぶっきらぼうな言い方に、クスクス笑う。

 もう、素直じゃないんだから……。

  はベンチから立ち上がると、斬魄刀を鞘から抜きと開錠する。

 開錠されると、彼も立ち上がる。

彼女は自分の近くに飛んでいる地獄蝶を見ながら、楽しそうに口にした。





「冬獅郎くんって、一護くんと仲が良いよね」





「は?」





 突然の言葉に、日番谷は気の抜けた声を出したのであった。



































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癒李様、30000Hit踏んでくださり、ありがとうございます!!

ようやく書き終わりました…;;

長い間、お待たせしてしまって、申し訳ございません(土下座)

一応、ヒロイン設定は原作(連載)と同じです。

日番谷と一護の嫉妬の繰り返しになっていますでしょうか…?

ご希望に添えていれば一番良いのですが…。

返品可能ですので、遠慮しないで返品しちゃってください!


リクエストしてくださり、ありがとうございました!      2006 / / 6 かりん 


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