嫉 妬










 日番谷は、十番隊隊舎の執務室で、今日やっておかなければならない仕事を黙々と片付けていた。

 本当は、そこには副隊長の松本乱菊もいなければおかしいのだが、きっとまたサボっているだろう。

 机の上には大量の書類。

 もう冷めてしまったお茶をすすりながら、片付けていた。











「ったく、何であいつは戻ってこねえんだ!」



 1人愚痴る日番谷。

 先程乱菊は「すぐ戻ってきますから♪」なんて言ってどこかに行ってしまったきり。

 大量の書類がやっと半分まで終わったという所で、彼は肩を鳴らす。


「さすがにこれはきついな…。少し外の空気を吸ってくるか」


 残りの書類をちゃっかり乱菊の机に乗せると、そのまま執務室を出て行く。

 少し行ったところで、思わぬ人物を発見した。

 隠れる必要がないのに、物陰に隠れる。






「今日はいい天気だね〜」






 思わぬ人物というのはこの声の主のこと。

 

 日番谷の彼女である。

 彼女ならば堂々と出て行けばいいのだが、そこにはもう1人いた。






「そうだな。太陽が眩しいぜ」






 そう言って眩しそうに空を見上げているのは、赤い髪に鉢巻を巻いている、阿散井恋次だ。

 日番谷は、かなり不機嫌な顔でその様子を見ていた。


「最近そっちはどうなの?」

「俺か?ま、相変わらずだな。まだまだあの人は遠いな…」

「でも、恋次ならすぐ追いつけるよ!」

「…そうか?」

「うん!」


 恋次と話すは満面の笑み。

 彼はそれらをじっと見ていて、胸にイライラやらモヤモヤした気持ちが渦巻いていた。



 ただ阿散井は、の同期なだけだ…。

 それなのになんだ、この気持ちは。

 俺はあいつに嫉妬しているのか…?



 これ以上見ていたら、 が他人に笑顔を向けている所を見ていたら、

 どんどんイライラが増してきてしまいそうで、日番谷はすっきりしないまま、また執務室に戻るのであった。



















 

 まだ少し残っているお茶をすすりながら、さっきのことを考える。



「何であんなに笑顔なんだよ…」



 恋次に向けていた の笑顔。

あの笑顔は自分だけに向けてほしい。

 知らないうちに彼の中で独占欲が大きくなっていた。


 そこにちょうど、 が中に入ってきた。


「冬獅郎!遅くなってごめんね」

「……そんなに遅くねえよ」


 さっきのことがあったからか、自然に冷たく当たってしまう。

  は、眉を八の字にし、彼に近づく。




「冬獅郎、その…怒ってる?」




 首をかしげて寂しそうに聞いてくる彼女に、日番谷は視線を合わせる。

 “怒ってない”と言おうとしたのだが、視線を合わせた途端、彼女を抱きしめた。

 2人の間には机があるのに、彼はそれを飛び越えて。

 先程湧いて出た独占欲が、先に身体を動かしたようだ。


 突然の抱擁に、 は驚く。


「冬獅郎?どうしたの?」


 よく抱きしめられてはいるが、今日はいつもより力が強い。

  も背中に腕を回し、抱きしめ返す。

 すると、日番谷は一旦身体を話し、“椅子に座れ”と言った。


「?」


 とりあえず彼の言うことを聞いて、いつも彼が座っている椅子に座ると、背もたれに手をつかれる。

  の顔の横に、両手。

 後ろは椅子の背もたれ。

 そして、目の前に日番谷。

 ちょうど挟まれる状態である。


 彼は目の前にある の頬にそっと触れ、顔を近づけていく。

 口を塞ぐ前に、彼女にしか聞こえないような小さな声で囁いた。






「お前を見てたら我慢できねぇ」






「それってどうい――――」






 重ねあわされる唇。

 自然に は、彼の首へ腕をまわす。

 すると、日番谷の舌が侵入してきた。

 舌を絡ませようと動いてくる。

 彼女もそれが分かったのか、絡ませようと動く。

 何度も何度も絡まり、もうとろけてしまいそうな感覚に陥る2人。

 違う角度からやられたりと、今日はいつもより激しく責められた。











 

 唇を離すと、お互いを銀の糸が繋いでいる。

  の瞳はもうとろんとしてきていた。

 日番谷はそれに笑みを浮かべると、先程の続きを話し始める。


「お前と阿散井が話しているのを見た」

「え…」

「あの笑顔は俺だけに見せてほしいんだよ、

「冬獅郎……」


 彼の想いを聞いて少し驚きはしたが、すぐに微笑んだ。

 日番谷も微笑み返すと、今度は視線を下にする。

 そこには、キスの合間にいつの間に乱していたのか、 の胸元が露になっていた。

 彼女も自分のこの姿を見て、顔を真っ赤にする。






「……冬獅郎?」






「さっき言ったろ?我慢できなくなったって」






 何かを企んでそうな笑みを浮かべると、胸元に顔を沈めた。

 ちくりとする胸の痛みに、 は声を上げる。


「あっ…んん……」


 胸元に赤い痕をいくつもいくつも咲かせ、舌でも味わう。

 彼にとってその声を聞いただけで、更に欲情してきた。

 そして、更にその下に行こうと死覇装を脱がそうとするが――――…










「隊長、何やってるんですか!!!」










「ま、松本…!」










 行為を遮ったのは、どこかに行っていた乱菊。

 どかどかと中に入ってくると、日番谷の腕の中にいる歌倫をひょいっと持ち上げてしまった。


「私の に何してくれているんですか〜?日番谷隊長?」

「お前のじゃねえだろ。 は俺の だ」

「何言ってるんですか!独り占めしないでください」

「俺の女だ!」


 途中で邪魔され、眉間にいつもより皺を寄せながら、乱菊と怒鳴りあっている日番谷。

 一方、 は乱された死覇装を整え、お茶を飲むために淹れにいく。

 お茶を淹れながら、さっきのことを思い出すと、顔が真っ赤になった。



「私、もしかして冬獅郎と……」



 乱菊に止めてもらって安心した気持ちとちょっと残念かも…という気持ちの両方があった。

 でも、1つ決めたことがある。

 あんまり冬獅郎以外に笑顔見せるのやめよう。




 三人分のお茶を淹れ終わると、執務室の方からまだ言い合っているのか、声が聞こえた。


「隊長には内緒です!」


「別に誰も聞いてねえよ。お前はさっさと仕事をやれ!」


 いつも通りのやりとりを聞いて、 は笑みを浮かべ、また執務室に戻っていくのであった。






































---------------------------------------------------------

樹唯様、リクエスト遅くなりまして申し訳ございません;;

「微エロ」ということで書かせていただきました。

これはご希望通りになっているでしょうか…?

私が書けるのはこれが精一杯です、たぶん(汗)

返品はいつでも可能ですので、気に入らない場合はしてください。

10000hitリク、ありがとうございました!


2006/3/14 かりん


SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送