1. ラビ 「同じ場所で 一緒に生きたかった」
D.Gray-man // 連載ヒロイン
私は、ラビの事を愛している。
あの出来事が起こってから、この気持ちはより一層強くなった。
いつまでもずっと一緒にいたい。いずれは結婚したりして、最期まで一緒にいたい。
――そう願っているけど、それは無理だと思う。
ラビは、ブックマン後継者。
ブックマンは一つの場所に留まらず、ありとあらゆる場所に流れていく。
それがブックマンだから、ラビはいずれ此処を去ってしまう。
どんなに好きでも。
どんなに愛していても。
どんなに願っても。
でも、私はこの想いを伝えない。私の我侭で、ラビの進む道を邪魔したくない。ラビを迷わせたくない。
きっと、これは私の自己満足。
だけど、許して?
こうでもしないと、私は立っていられなくなりそうだから。この気持ちが溢れてしまうから。
私は、弱い人間だから……。
ラビ、私はその時がくるまで、精一杯愛するね。
――これからもずっと同じ場所で、一緒に生きたかった。
その想いを、心の奥に隠して。
2. 神田ユウ 「おかえりなさいと迎えてくれる場所」
D.Gray-man // 連載ヒロイン
俺は、よく任務で無茶をしているらしい。俺自身自覚は無い。が、それでよくアイツに怒られる。
でも、どんなに酷い怪我で帰ってきても、お前は怒りながらも迎えてくれる。
「おかえりなさい」と。
この言葉があるから、俺は帰ってこられるんだ。お前のこの言葉が聞きたくて。
お前の心が何処に向いていようと関係無い。
ずっとラビに向いていて、俺に向く可能性が無くても。
俺には、これだけで十分だ。
お前がいつでもおかえりなさいと迎えてくれる場所だけで。
この大切な場所を、そして、何より大切なお前を俺は必ず守り抜く。
今までも、そして……これからもずっと。
3. ゼロス・ワイルダー 「確かなぬくもり」
Tales Of Symphonia // 短編と同じヒロイン
俺は、雪が嫌いだ。
雪には良い思い出が無い。いつも思い出すのは、血に染められた赤い雪。
だから、いつもならこの時期はアルタミラに行くのだが、今年は違った。
「…ハニー、何してんのよ?」
俺は、アルタミラではなくメルトキオにいる。
雪が降っている中、厚手のコートを着て、それでも寒さに震えながら目の前の光景を見ていた。俺の視線の先には、雪で何かを作っているお前がいる。
「何って見れば分かるでしょ?雪で作ってるの」
「それは分かるっつーの!じゃなくて、何を作ってるのかってことだよ」
口を開いただけで大量の白い息が出る。そして、俺の問いには答えず、お前は黙々と作業を続ける。
外は寒すぎるし、早く家に戻りたい。それに、やっぱり雪の中にはいたくない。
先に帰ると言おうと口を開きかけた時、お前の「出来た!」という声が聞こえた。その完成品を見てみると、変な物が出来上がっていた。
「それは何だ?」
「ゼロスは知らないのね。かまくらって言うのよ」
この、丸い小さな家みたいなやつをかまくらと言うらしい。初めて見るかまくらに触ってみると、案外脆くはないようだ。
「このかまくらってやつは、崩れたりしないのか?」
「大丈夫よ。なんなら、一緒に入ってみようよ」
「へ!?」
腕を掴まれ、無理矢理かまくらの中に入れられた。俺が入った後にお前も入ってくる。
「うわ、凄え狭いのな」
「文句言わないの。一生懸命作ったんだから」
口を尖らせてしまったお前に、悪いと謝る。密着状態だから顔は見えなかったけれど、仕方ないなと笑ったのが空気で伝わってきた。
――そうだ、今は密着している……。
一度意識し出すと、心臓が少し煩くなってきた。緊張しているのだろうか。こんなことはもう慣れている筈なのに。しかも、手に変な汗が出てきた。
何とかいつもの自分に戻そうとしていると、「ゼロス」と隣りから話し掛けられた。
「な、何だ?」
「雪もなかなか良いものだって思わない?」
「…?」
「だって、こうやってくっついていられるのよ。普段より人の温もりも感じられるし。だから、私は好きだなあ」
「……」
初めてだった。こんな事を言われたのは。
雪の中で知っているのは……あの時の、血に染まったお袋の温もりだけだった。
けれど、今は違う。優しい温もりがすぐ隣りにある。心の底から安心出来る確かなぬくもり。
「…確かに雪もなかなか良いものかもしれねーな。ハニーがこうやっていつもいてくれれば、の話だけど」
俺がそう言えば、お前は少し照れながら「仕方ないわね」とはにかんだ。
外では、まだ雪が静かに降り続いている。
4. 日番谷冬獅郎 「手折れそうな君を必死に抱き締めて」
BLEACH // 連載ヒロイン
十四番隊が無くなり、アイツの副隊長も死んでしまってまだ間もない頃のことだ。
ある日、俺が十番隊の隊首室へ戻ると、お前は窓辺に立ってじっと外を眺めていた。
何故かそのまま何処かへ行ってしまうような気がして、俺は咄嗟に名を呼ぶ。
すると、金髪を揺らして振り返った。
「どうしたの?」
「い、いや…。お前こそ何を見ていたんだ?」
「空を見ていたの。あの子が大好きだった青空を…」
寂しそうに言い、また遠くを見つめる。
俺も聞いた事があった。
副隊長、伊宮華恋は言っていた。隊長の瞳と同じ色のこの青空が大好きなのだ、と。
昔の事を思い出していると、小さな嗚咽が聞こえてくる。その声の方向を見ると、お前は青空を見つめながら涙を流していた。
俺は驚いて駆け寄る。
どうした、と聞けば、涙を拭わないまま俺の胸に顔を埋めてきた。好きな女にこうされて動揺したが、すぐにそんな気持ちは何処かへ消えてしまう。
「私の…私のせいで華恋が……華恋が…!」
「違う。お前のせいじゃない」
「いいえ…私のせいなの…。私にもっと力があったら、今、あの子は……」
この青空を見る事が出来たの、大好きなこの青空を……。
俺は、手折れそうなお前を必死に抱き締めた。そうしないと、今にも壊れてしまいそうだった。
「…俺が守る。この先もずっと」
お前を苦しめる悲しみから、俺が守ってみせる。
それを誓うように、抱き締める腕に力を込めた。
5. [CP] ロック×ティナ 「長雨に閉ざされた空間で」
FINAL FANTASY Vl // ※苦手な方はご注意ください
雨が降っている。
ティナは、モブリズにある家の窓から、外の景色をボーッと眺めていた。
「ティナ、何やってるんだ?」
「ロック」
声の聞こえた方に振り向くと、灰色の髪に青いバンダナをしている青年ロックがいた。
ロックはティナの隣りに並ぶと、優しく肩を抱き寄せる。彼に身体を預けながら、ティナは視線を外に戻す。
「…ロックと出会った時のことを思い出していたの」
「出会った時のこと?」
「うん。まだ私が不安でいっぱいだった時、ロックが安心させてくれた。”守る”って言ってくれて、心のどこかで凄く嬉しかった」
雨の雫の落ちる音が聞こえる中、ティナのソプラノの声が部屋に響く。
「あの時からずっと傍にいてくれて、本当に幸せだよ」
そう語る彼女の横顔を見れば、世界大戦の頃にはあまり見せなかった柔らかい笑顔を浮かべていて。本当に心の底から幸せだと言ってくれているようで、ロックも思わず笑みが零れる。
幸せなのは俺も同じだ。モブリズに住む子供達と、そして、何よりティナと一緒にいられるのだから。
ロックは、「ティナ」と優しい声で呼ぶ。
「これからもずっと俺はティナを守っていく。何があっても、ティナは俺の一生をかけて幸せにするからな」
「ロック……」
突然の告白に、ティナは頬を赤く染める。2人はじっと見つめ合うと、どちらからもなく顔を近づけていく
長雨に閉ざされた空間で、2人の影が重なり合う。
そして、いつの間にか雨はやみ、まるで2人を祝福するかのような綺麗な青空が広がっていた。
6. [CP] カイル×アティ 「もう キミなしじゃ いられない」
SUMMON NIGHT 3 // ※苦手な方はご注意ください
「おかえり」
遺跡の核から戻ってきたアティに、カイルは嬉しい気持ちと本物のアティか確かめる意味を込めて言った。
カイルの言葉に、アティは微笑んで一歩近づく。
そして、彼女も本当に嬉しそうに返した。
「ただいま、カイル」
この言葉を聞いた途端、カイルは心の底から溢れてきた気持ちを我慢出来ず、アティを抱き締めた。彼女の華奢な身体を壊さないように優しく、でも強く。「カ、カイルさんっ」と顔を真っ赤にするアティだが、カイルから気持ちが伝わってきて、瞳を閉じて背中に腕を回す。
しばらく抱き合っていると、周りからこそこそと声が聞こえてきた。
「先生とアニキってそういう関係だったの!?いつから!?」
「気づいてなかったの、ソノラ?アタシなんてすぐ分かったわよ」
「確か、無色の派閥を退けた後ぐらいからでしょうか」
「ヤード、確かにそうなんだけど、もっと前からイイ感じになってたのよね、これが!」
「ええー!!」
ソノラ、スカーレル、ヤードが楽しそうに話している。こそこそ話している割には丸聞こえで、アティは顔を再度真っ赤にして、カイルの腕の中から顔を上げる。「カイルさん、恥かしいですっ」と言って離れようとするが、カイルは全くその気が無いのか離そうとしない。逆に、力が強くなる。
う〜と唸っていると、ようやくカイルが離してくれた。
「どうして、なかなか離してくれなかったんですか?皆が見てる中で、その…えっと…大胆に…」
「嫌だったのか?」
「そ、そんなことないですっ。…嬉しかったけど、こういうのは2人きりの時で…」
「わっはっはっは。もういいじゃねえか、バレちまったんだしよ」
「もうカイルさんてば…」
カイルに笑い飛ばされ、アティはむくれる。いじわる、と小さく呟きそっぽを向くと、カイルの大きな手が彼女の頬に触れる。何だろうと思ってカイルをじっと見つめていると、彼は耳元で囁いた。
「 」
アティは目を見開き、そして、一気に頬が朱に染まる。咄嗟にカイルを見ると、目が合った。
自分を見つめる、愛しい人に向ける優しい瞳。
今度はアティから抱き締めたい衝動に駆られたが、此処には皆がいる。
何とかそれを我慢し、仕返しにと彼女も背伸びをして彼の耳元に唇を寄せた。
「 」
2人は、目が合うと微笑み合う。
海賊一家や自分の生徒、この島の皆が寄って来るのが見えた。
カイルは、そちらの方に手を振って歩いていく。勿論、2人は手を繋いで。
もう何処にも行かないように、もう手放したりしないように。
アティは晴れ渡った空を見上げ、もう一度口にした。
「ただいま!」
――皆と貴方と出会えて良かった。
※お題をお借りしています※
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